富士の頂角、広重の富士は八十五度、文晃の富士も八十四度くらい、けれども
私には誇るべきものは何もない。学問もない。才能も無い。
肉体は汚れて 心も貧しい。
けれども、苦悩だけは経てきた。
たった、それだけ。
藁一筋の自負である。
けれども、私はこの自負だけははっきり持っていたいと思っている。
わがままな 駄々っ子のように謂われてきた私の裏の苦悩を
一たい幾人知っているだろう
太宰治 作『富嶽百景』より一部抜粋
その自負さえも自分にはあるかと問えば、やはり塵にも満たないつまらないものしかないのかも。
だからこそ、生きてるのだろうけど。
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